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あのシーン。
クロスを受けたポスト役から彼に絶好のボールが配され、
とっさの判断で彼はゴール上部を狙い、
そして彼の蹴ったボールはバーに当たって跳ね返った。
その刹那、ふだんはそんなこと全く考えもしないんだけど、
「ああ、今日は負けるな」という感触みたいなものが、
一瞬だけど確かに、肌の上をザワッとよぎっていった。
もちろん自分なんかが言うまでもなく、
あれが入ってれば120%勝っていた。
その意味でも、
今日は紛れもなく、彼の試合だったと思う。
思えば、
結果クソなことになった、あの来日初得点の試合も、
同じところが相手だった。
要するにあの時も今日も、引き立て役ってやつである。
その同じ書き割りをバックに、
彼は初めて自分の存在を満天に誇示し、
そして今日、
改めてその存在を誇示でき得るシュートを、バーに当てた。
あんなシーンは、そうそう滅多に見られるもんじゃない。
これが、彼の試合でないのなら一体何なんだろうと思う。
繰り返しになるけど、
今日は紛れもなく、
彼のために用意された試合だった。
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