橋のたもとで
最初、別のことを考えていて、
気にも留めていなかったのだけれど、
目の前を俯き加減に歩いていた、
小学3、4年生ぐらいの女の子が、
ふと顔を上げて「あった!」と小さく叫んだ。
その声に引き込まれて、
彼女の視線の先をたどると、
橋の、少し幅のある欄干の上に、
赤い手袋の片方が置かれているのを、
見つけた、いや、見つけたと思っただけで、
彼女は即座にそれをつかみ、
胸に押し抱くようにして、
今来た道を小走りに戻っていった。
「Happenings」カテゴリの記事
The comments to this entry are closed.
Comments