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2009.10.20

おかあさん

こないだ、どうしてそういう話になったのか、
理由は忘れたんだけど、
鈴木清順の「殺しの烙印」の話が出て、
「殺しの烙印」は、よく知られてるように、
清順のヘン映画の中でも極めつきで、
当時の日活社長が「わからない映画を作るな」と、
契約解除を通告したというエピソードも名高い逸品、
個人的にも、宍戸錠が唐突に電子ジャーの蓋を開けて、
湯気立ち上るご飯の匂いを胸一杯吸い込む、
あのシーン(殺し屋が何より白飯好きという設定)に、
言葉を失うぐらいの衝撃を受けたのだけれど、
同じような衝撃を受けた映画のことをふと思い出し、
それは成瀬の「おかあさん」という、
田中絹代が昔風の母親を演じて、切なくも心温まる、
でも印象は地味な、松竹蒲田調の佳品なんだけど、
編中、出し抜けに“終”が出るシーンがあって、
あえて詳しくは説明しないけど、初めて見た時には、
思わず「えー、ここでですか!」とのけぞった話をした。
だって息子が肺病で死に、貧困の中、苦楽を共にした旦那も、
病院にすら行けずに亡くなる、みたいなトーンの映画の中で、
いきなりのお茶目だよ。成瀬、凄い! ちなみに、
他にも暗い設定てんこ盛りなんだけど、
ほんわりした穏やかささえ感じさせる作品で、
その、不可思議なちぐはぐさも衝撃的。
さらに助監督は、後に監督・田中絹代の下にもつく石井輝男と、
個人的には成瀬作中でも十指に入る怪編っす。笑。

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