番付・星取り表制作に追われる
水木さんの「私の履歴書」は、
例えば、今でも調布に住んでいる元「アシスタント」のつげさんと、
“ごくたまに近所ですれ違うと、「センセイ、僕のことをあまり書いたり、
しゃべったりしないでくださいね」と、ぼそっと釘を刺される”話とか、
とにかく何回読んでも面白くてしょうがないのだけど、
特に笑えるのが、小さい頃、紙相撲に熱中した話。
序の口、三段目、幕下、十両、幕の内の番付を作り、定期的に場所を開催して取り組みを始め、星取り表まで作る。場所ごとの成績で番付が変わるので、その作業にも忙殺される。
で、これがまた、
すり切れるほど読んだことがある話なのだ。
初日が終れば二日目を、二日目が終れば三日目をやらなくてはならないから、気持のくぎり目というものがない。そうやって星取表が埋まっていき、やがて千秋楽がくる。すると番付会議を敢行しなくてはならぬ。(中略)力士の数が増えてくると、覚えきれないので、カードを作る。番付によってカードの大きさを変え、二場所ないし三場所で一歳ずつ年をくわえる。ゲームがだんだん精緻になるにつれ、その忙しさは言語を絶するようになる。(阿佐田哲也「ひとり博打」)
水木大先生と色川師匠の年の差は実は7つなんだけど、
そんなのがもうたまらなくおかしくてしょうがない。
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