ル・アーヴル
そっかー、カティ・オウティネンが、
相変わらずクスリともせずに、
「近所じゃ(奇跡は)起きてないわ」
って言ったギャグ、アレって、
よく考えてみりゃ伏線だったんだなー。
…なんてこたあどうでもよくて、
5年ぶりかのカウリスマキの新作なんだけど、
いやー、思いのほか「いい」と、
思い切ってる自分に、ビックリしている。
あの「レニングラード」を見た20年前に、
こんなにカウリスマキが好きになってるなんて、
思いも寄らなかったわ。
いいんだよ。
つうか、ああだこうだ訳知り顔の、
ケチをつけたくない感じっていうか。
物語はご都合主義。
所詮、お伽話ってこたあわかってる。
ただカウリスマキのラストの落とし方って、
乾いてんだな。
夢物語を描いてても、
どこか突き放しててドライ。
あの時代遅れなロックと、
すっとぼけな笑いとに負ってる力は、
やっぱ大きいんだろう。
だから出てくる奴が基本、
みんないい奴にもかかわらず、
話が正義とか教訓とか臭く、ならない気がする。
「マッチ工場の少女」の頃から全然変わんない、
あの卑小感漂うエンディングがたまらない。
“ハッピー・・エンド”? 何が?
そういう、いじましい嘘っぽさを、
そっと大切に、
手のひらで包み込まなければならないほど、
現実には闇や不条理があふれてるわけで、
アレをハッピーと捉えることができる人は、
ハッピーハッピー大ハッピー。
例えば、カウリスマキのご都合主義は、
対比するならNHKの朝ドラなんかのご都合主義とは、
正反対のベクトルを持っているのだ。
いやもう、全部受け入れちゃうよ、
カウリスマキ。
人に「いやー、カウリスマキがお気に入りで」
なんて言う対象であった試しがなかったのだけれど。
今日は仕事サボっちゃった。
夜、品川方面と鳥越方面から祭についての打診。
体一つっきゃねえんだよなぁ。困る。
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