Cinema

2012.09.30

ライク・サムワン・イン・ラブ

見てすぐ文句なしに今年のベスト1と決定された、
キアロスタミの傑作。

とにかく、そこかしこにトラップが仕込まれてて、
わかった気分になった先から、
次々とスカされていく。

例えばタカシが眠りかけるシーン。
“あれ? もしかして爺さん死ぬのか?”
車はいけしゃあしゃあと、
無事故で家に戻ってくる。

例えば隣家のキャラ濃厚な中年婦人や、
彼女が面倒を見ている弟…から、
階段の内部…に至るまで、
あえて見せないことで物語の奥行きを広げて…
“あれ? 絵で見せちゃうの?”

まー食えない狸ジジイ(監督)だこと。
というのが第一印象。
日本での撮影という、
本来なら不自由であるべき映画のポイントを、
逆に武器として使っている。何だそりゃ。

よく考えるとあり得ないような“ふつう”。
そいつが淡々と並べられることで、
獲得されているリアリティ。
音はあくまでも生々しく、
反対に、物語の時とか場所とかは、
ぼかされていたり混ぜこぜになっていたり。

言っとくけど、全部意識的だからね。
確信犯のトラップ。
そして、あれこれ、多彩な細部に気を取られているうちに、
全く予測もつかないところへと、
運ばれてしまっている自分に気がつく。

あの破壊音に引き裂かれない人はないだろうし、
エンドロールのタイミングに驚かない人もいないはず。
自分がどこにいるのか、何を見ているのか、
わからないスリルの連続、持続。
でもそれが、
映画ってやつじゃないんでしょうか?

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2012.07.09

(秘)色情めす市場

今回の日活100周年祭には、
結局4、5回しか行けなかったけど、
個人的には田中登監督の、
復習講座って感じだったかな。
ついでに「妖女伝説’88」や、
「屋根裏の散歩者」なんかも見返したし。笑。

「(秘)色情めす市場」は、
いろんな知識を外して見ると、
「歩く」映画、なのが新鮮だったな。
主人公のトメが西成を歩く歩く。
あと、宮下順子と萩原朔美の、
サイド・ストーリーがめちゃくちゃいい。
朔太郎の孫の朔美さんとは、
四谷三丁目にあった頃の、
イメージ・フォーラムで何回かお会いしてんだけど、
こういう人だったんだね。笑。

「人妻暴行致死事件」、
アレは室田日出男の目線で見る方が、
より面白いというのも新発見だった。
最初はどうしたってエロ視点、
つまり若者視点で見るのが普通なんだけど、
年取ると室田日出男に感情移入する…
のは石井隆の「死んでもいい」も同じなんだけど。笑。
殺された嫁を目の前に、母親にその死を責められて、
「(嫁が)俺のもんだ。触らないでくれ」というセリフ。
凄いねえ。
もちろん室田日出男がまた素晴らしいんだけど。

ところで、VシネやAVを見慣れている目には、
ロマンポルノがちっとも扇情的でないことに、
改めて驚いたりした。
扇情的どころか、エロなシーンは、
声こそハデながらしばし退屈だったりもする。
それよりもむしろ、ヤバ目の場所や人々が映ったり、
気違いだの百姓だの、
今ならギャーギャー騒がれる言葉が、
ポンポン自然に飛び交ってることに、
表現の奥行きみたいなものを感じた。
AVの今と、どっちがいいんだろうね。

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2012.06.06

ル・アーヴル

そっかー、カティ・オウティネンが、
相変わらずクスリともせずに、
「近所じゃ(奇跡は)起きてないわ」
って言ったギャグ、アレって、
よく考えてみりゃ伏線だったんだなー。

…なんてこたあどうでもよくて、
5年ぶりかのカウリスマキの新作なんだけど、
いやー、思いのほか「いい」と、
思い切ってる自分に、ビックリしている。
あの「レニングラード」を見た20年前に、
こんなにカウリスマキが好きになってるなんて、
思いも寄らなかったわ。
いいんだよ。
つうか、ああだこうだ訳知り顔の、
ケチをつけたくない感じっていうか。

物語はご都合主義。
所詮、お伽話ってこたあわかってる。
ただカウリスマキのラストの落とし方って、
乾いてんだな。
夢物語を描いてても、
どこか突き放しててドライ。
あの時代遅れなロックと、
すっとぼけな笑いとに負ってる力は、
やっぱ大きいんだろう。
だから出てくる奴が基本、
みんないい奴にもかかわらず、
話が正義とか教訓とか臭く、ならない気がする。

「マッチ工場の少女」の頃から全然変わんない、
あの卑小感漂うエンディングがたまらない。
“ハッピー・・エンド”? 何が?
そういう、いじましい嘘っぽさを、
そっと大切に、
手のひらで包み込まなければならないほど、
現実には闇や不条理があふれてるわけで、
アレをハッピーと捉えることができる人は、
ハッピーハッピー大ハッピー。
例えば、カウリスマキのご都合主義は、
対比するならNHKの朝ドラなんかのご都合主義とは、
正反対のベクトルを持っているのだ。

いやもう、全部受け入れちゃうよ、
カウリスマキ。
人に「いやー、カウリスマキがお気に入りで」
なんて言う対象であった試しがなかったのだけれど。

今日は仕事サボっちゃった。
夜、品川方面と鳥越方面から祭についての打診。
体一つっきゃねえんだよなぁ。困る。

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2012.05.31

(秘)色情めす市場

今回の日活100周年祭には、
結局4、5回しか行けなかったけど、
個人的には田中登監督の、
復習講座って感じだったかな。
ついでに「妖女伝説’88」や、
「屋根裏の散歩者」なんかも見返したし。笑。

「(秘)色情めす市場」は、
いろんな知識を外して見ると、
「歩く」映画、なのが新鮮だったな。
主人公のトメが西成を歩く歩く。
あと、宮下順子と萩原朔美の、
サイド・ストーリーがめちゃくちゃいい。
朔太郎の孫の朔美さんとは、
四谷三丁目にあった頃の、
イメージ・フォーラムで何回かお会いしてんだけど、
こういう人だったんだね。笑。

「人妻暴行致死事件」、
アレは室田日出男の目線で見る方が、
より面白いというのも新発見だった。
最初はどうしたってエロ視点、
つまり若者視点で見るのが普通なんだけど、
年取ると室田日出男に感情移入する…
のは石井隆の「死んでもいい」も同じなんだけど。笑。
殺された嫁を目の前に、母親にその死を責められて、
「(嫁が)俺のもんだ。触らないでくれ」というセリフ。
凄いねえ。
もちろん室田日出男がまた素晴らしいんだけど。

ところで、VシネやAVを見慣れている目には、
ロマンポルノがちっとも扇情的でないことに、
改めて驚いたりした。
扇情的どころか、エロなシーンは、
声こそハデながらしばし退屈だったりもする。
それよりもむしろ、ヤバ目の場所や人々が映ったり、
気違いだの百姓だの、
今ならギャーギャー騒がれる言葉が、
ポンポン自然に飛び交ってることに、
表現の奥行きみたいなものを感じた。
AVの今と、どっちがいいんだろうね。

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2012.05.29

彼女について知ることのすべて

2週間限定のレイトのため慌てて行ってきた。

何というか、主役の男が、
自分でも卑怯と称しててつい、
その通り!と掛け声をかけそうになったけど、笑、
ほんっと煮え切らない偽善野郎で、
確かに男から見たそういう奴って、
意外に女性が切れないんだけど、
(女性から見たらどうなんだろう…)
そこらへんが非常に素晴らしく描かれていて、
イライラさせられた。苦笑。
確かにむしろチンピラの方がはるかに魅力的で、
あの結末も、ごく自然に納得だし。

…なので、“ファム・ファタール”とか、
“ノワールもの”とかの売り文句は、
個人的には全然ピンと来なかった。
主役の女は性に貪欲だけど(看護士!)、
基本、ちっとも悪魔のような女じゃないし、
“ノワールもの”というにはジメジメしていて、
乾いたところがほとんどない。
逆に「地方都市」の救いのない感じは、
実によくフィルムに映し出されているんだけど。
この映画で地方都市というのがポイントだとも思うし。
(瀬々の「雷魚」を思い出した。大都会じゃ話が成り立たない)

ひとつだけ。
あの、色気たっぷりな弁護士さんの必要性が、
イマイチわからなかった。
どうせなら事件に入ってくればいいのに。
あと、同僚の女先生。
結婚がダメになったら余計居づらいんじゃないの?
大体、寝取られたことくらい耳に入るだろうし、
あんな程度で済むのか?
ああいうキャラ付けしてたんだから。
ま、ロマンポルノよりよっぽどHだったのは、
満足しましたが。笑。

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2012.05.09

広島ヤクザ抗争全史

ご存じ笠原=深作組「仁義なき戦い」の元になっている、
エピソードの数々をまとめた本を、
ちょっとした理由で今さらながら読み始めてるんだけど、
面白すぎるよー。
山口組田岡組長が「モノホン」と評した金子信雄だの、
菅原文太だのが頭ン中で躍動して、もうね。

今の現場の殺伐とした気分にも、
ぴったりな感じで、笑、
どいつのタマを取ったろうかと、
そんなことばかり夢想中じゃけん。笑。

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2012.05.01

1日

は映画が安いよ~と、
いつも煽ってるくせに忘れてた。笑。
お煎にキャラメル用意して、
カウリスマキの新作見に行ったら、
すっげー混んでやんの。
まだ2時なんだけど、5時の回まで満員らしい…

もちろんそんな時、
並んだり待ったりまでして、
見ないのが東京っ子ってもん。
つことで、あっさり引き上げる。
他にもやることはあるし。笑。

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2012.04.24

類推の山

Mount_analogue

「ノスフェラトゥ」が出たんで、
書くの忘れてたの思い出したけど、
ジョン・ゾーンの1月末に出た前作、
「類推の山」。
40分弱のナンバーを最近よく、
iPod聴きしている。

元はルネ・ドーマルの小説で、
実はその「反-天空」の詩人、
ドーマルの主宰していたグループ、
「ルグランジュウ」にイカれてた若き時分があり、
「大いなる賭け」誌も持ってたりして、

Le_grand_jeu

「類推の山」と聞くと、
思わず血が騒ぐのだけど、笑、
いやージョン先生、そっちきましたか。
さすがお目が高い。
(ちなみにホドロフスキーの「ホーリーマウンテ」が、
類推の山っすよ)

ジョン先生、5月末だしの次作は、
テンプル騎士団だそうで、
(「Templarsnin Sacred Blood」)
いやま、期待してるというか、困ったもんだというか。

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2012.04.18

リチャード・レスターの

ハード・デイズ・ナイトの映画で、
リンゴが変装して街へ脱出するシーン、
あのまったりシーンが、
初めて見た中坊の時から一番印象的で、
裏に流れてたBGMアレンジ(「イフ・アイ・フェル」?)なんざ、
いまだにそういうシチュエーションでは、
鮮明に頭ん中で鳴ったりする。笑。

つうか、我ながら、
根っからのサボりたい病?なんだなーと。苦笑。

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2012.03.23

RIVER

案外よく取り上げてる廣木隆一監督作の見始めは、
「魔王窟・サディスティックシティ」(1993)からだから、
そうか、思ってたよりは新しいな。笑。(ただし成人映画は除く)
いや、「サディスティックシティ」を見たのも、
音楽担当がジョン・ゾーンだったから、と、
単にそれだけだったんだけど、
以後は結構勤勉に見ている、ような。笑。

で、最新作の「RIVER」。
劇部分はいつもながらというか、
どこか甘かったりヌルさがあったりするんだけど、
そこらへんは仕様でもあり。笑。
それでも。
若い女性に本当に寄り添っているのは、
やっぱり監督の方なのかもしれない…

もっともそんな劇部分だけど、
当初のシナリオにはなかったという、
例のロケ映像によって、
全て吹っ飛んでしまった印象だ。
そう、東北の被災地の生々しい絵。
あそこから明らかに、
映画自体が変わってしまってると思う。
監督も、ヘタすりゃ前半部が台無しになることを、
わかってる上であえてやっているのが面白い。
例えば三池崇史あたりとさえ、
似たものを感じるのだけど。

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